2丁拳銃


2003年末のM-1グランプリからやっと、余計な気負いや肩入れをあまり覚えることなく、気楽に2丁拳銃を見ることが出来るようになったなぁと思う。


規約変更があったので、2003年のM-1グランプリにエントリーしていることを知った時、正直なところ(もういいやん)と思った。
 何でそこまでこだわるのかも分からなかった。

 こだわりにこだわり、やっと最初で最後の決勝出場権を獲得したことを知った時、嬉しいのかなんなのか分からなかった。
 (やっと…、やっと…)とそんなことぐらいしか浮かばなかった。

 そして、本番が近づくにつれ、「絶対優勝!」や「期待してます!」というポジティブなかきこみを見ることが多くなったが、私はそういう明るい希望を形に残すことがどうしても出来なかった。
 明るいことばかりを期待すると、どうしてかその逆のことが起こりそうな気がしてすごく恐かった。
 だから、あまり過剰な期待をすることもなく、なるべく淡々と過ごすようにした。
 どちらに転んでもあまり動揺することがないように。

 
結果的に、「M-1グランプリ2003」で2丁拳銃は4位だった。
 “前へ前へ”系の芸風ではないので、気づけば後輩からも場所を奪われて窮屈そうにちょこんと座っている2人を時々見かけたりする。

 そんな姿に慣れつつあったので、敗者復活であがったコンビから逆転される最後の最後まで、ずっと彼らが3位の椅子をキープし続ける様子をVTRで見た時、
 (そうだ、大丈夫だったんだ)
 と思い出した。

 絶対に一歩も引かないし、“僕たち、こんなことも出来るんですよ”といわんばかりにいろんな世界を見せつける。
 ネタをする時の彼らは、頑固で凄く強気な自信家だった。
 それを思い出した。

 その姿をテレビでも見れたことが嬉しかった。
 その時初めて、(あぁ、2丁拳銃がM-1に出れて良かった)と思うことが出来た。
 (なんでそこまでM-1にこだわるの?)と思ったけど、こだわってくれたおかげで、2丁拳銃に対してちょっとずつ溜まっていた今までのもやもやがすーっと消えた。

 
M-1以降、あまりハラハラすることが無くなった。
 ネタバトル形式の番組に出る彼らをしばしば見るようになったが、ひっくり返るような低い評価で終わることがあっても、(あ〜らら、やっちゃった)ぐらいにしか思わない。
 どんな結果でも彼らは多分大丈夫なんじゃないかなぁと思うようになったからだ。

 今までどこか感じることがあったかすかな“拗ね”や“トゲ”、“危なっかしさ”をM-1以降はほとんど覚えなくなった。
 代わりに、(あぁ、今、2丁拳銃、楽しんでるなぁ)と見ながら思うことが多くなった。
 「百式」のときも思ったし、「曲者」のときも思った。
 それを見ていると、自然にこちらも楽しくなるし、彼らよりも楽しまなきゃ損だとも思う。


いつまでこの楽しさが続くかは分からないけど、乗っかれるうちは、めいっぱい乗って楽しむつもり。

(2004/10/25記)

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